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風が短距離走のタイムに与える影響。風速の測り方をルールブックに沿って解説

200m以下の種目は風によってタイムが左右されるため風速を計測し、追い風が2m以上の場合は追い風参考として正式記録にはなりません。
この計測された風速。疑問を頂いたことはありませんか?

「風が+1.5mだったが、追い風を感じなかった」
「風は0mだったのに向かい風を感じた」

など風速を疑いたくなるような経験をされた方も少なくないはず。

今回は陸上競技のルール・ハンドブックに沿って風力測定の方法と、風速に疑問を抱く理由まで解説していきます。

風力の測定方法

陸上競技のルール・ハンドブックには以下のように定めらています。

風向風速計を直走路の第1レーンに隣接してフィニッシュラインから 50m の地点に設置してあることを確認する。風向風速計の測定面は、トラックから 2m 以上離しては ならず、高さは 1m220(± 50 mm)でなければならない。

風向風速計とはコチラです↓

すべての風向風速計は世界標準規格によって認証されているものなので、機械による個体差はないものと考えて良さそうです。

風力の計算方法

※以下、陸上競技のルール・ハンドブック引用

風速を計測する時間は、スターターの信号器の発射(閃光/煙) からつぎの通りとする。
60m:5秒間
100m:10秒間
100mハードル:13秒間
110mハードル:13秒間
200m:先頭の走者が直走路に入ったときから10秒間計る。
〔国内〕 直走路に入る位置に旗を立てるなど適切な方法で表示する。

風向風速計で秒速何メートルかを読みとり、小数第2位が0でない限り、秒速 1m の 10 分の 1 の単位まで繰り上げる。
【例】
+ 2.03m → + 2.1m
– 2.03m → – 2.0m

風力測定の数値に疑問を持つ理由

上記の通り、風向風速計をフィニッシュラインから50mに置いて計測します。
つまり、スタート付近やフィニッシュ付近で猛烈な風が吹いていたとしても計算されません。

直線100mなので大きな風の変化は無いにしても、50m付近に固定して測る風と、身体に受け続けている風とでは、もしかしたら1mくらいの誤差が生じるかもしれないですね。

また当然ですが、追い風と向かい風のみを計測しますので、横からの風は計測されません。
いくら強い横風が吹いていたとしても風力測定は0mです。

例えば、競技場近くの建物の影響でこんな風が吹いた場合↓

こんな風とか↓

このような風向きの風は体感と計測値に違いが出るかもしれないですね。

風がタイムに与える影響

風がタイムに与える影響は、体格や体重、走力などにより変化するので一概には言えませんが、
風速1mで約0.1秒の影響があると言われています。

アメリカのロヨラ・メリーマウント大学のJonas Mureika氏や西ドイツの研究者ハイデンストレム氏が、短距離走と風の影響について研究をしており、その研究結果によると。
向風1m: -0,094秒
追風1m: +0.085秒

引用元↓
http://urakanama.web.fc2.com/wind.html

論文が見つからず詳細は不明でしたが、やはり風1mで概ね0.1秒と考えておいて良さそうですね。

風速の目安

気象庁の風力階級表によると。。

・0.3〜1.6m/s
「煙がたなびくが風向計での計測はできない」

・1.6〜3.4m/s
「顔に風を感じる、木の葉が動き風向計での計測が可能になる」

・3.4〜5.4m/s
「葉っぱが絶えず動いている、軽い旗がはためく」

・5.5〜7.9m/s
「ホコリが舞い上がり、木の枝が動く」

練習時などの参考にしてください!

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