中長距離選手向け レースを想定した変化ペース走
前回までに専門的持久力向上のインターバル、無酸素持久力インターバルの話をしました。
今回はその二つを結びつけたトレーニング方法をお伝えします。
専門的持久力、無酸素持久力のインターバルはそれぞれ予め設定した目標タイムで走り続けるというものでした。
同じペースで走り続けていると身体がそのペースに慣れ、リラックスした走りが出来るようになります。
しかし実際のところ、常に一定のペースで展開されるレースはほとんどなく、トップ集団の疲労具合、後続を引き離す揺さぶり等により、常にペースは変化します。
その為、時にはペースを変化させる練習を日頃から行い、その場で要求されるペースに冷静に対応出来るよう準備をしておくことも大切です。
それを重点的に考えた練習メニューが「変化ペース走」です。
変化ペース走は、中間でのスパート及びラストスパートなどのペースの変化に対応する為の効果的なトレーニングです。
以下、トレーニング例です。
200m×1本
400m×1本
800m×1本
400m×1本
200m×1本
ペース設定は以下の通りです。
200m…レース目標タイムより15%速いペース
400m…レース目標タイムより10%速いペース
800m…レース目標タイム
1500mを4分30秒(200mラップ36秒)の目標タイムにする場合、以下のようになります。
200m…36秒-(36秒×0.15)= 30.6秒
400m…72秒-(72秒×0.1)= 64.8秒
800m…2分24秒 ← レース目標タイム
一本ごとの休憩は200mジョギングを目安にしますが、設定タイムを超えるようであれば、ジョギングの距離を延ばします。
走っている最中はイメージトレーニングを大切にします。
レースのスタート時に良いポジション取る為、素早く飛び出すイメージ。
レースの中間で定位置を保つイメージ。
レース後半のロングスパートに引き離されないイメージ。
ラスト一周のスパートを先手でかけるイメージ。
そのようなイメージをすると一本の疾走の中でも変化をつけること出来ます。
例えば800mの設定タイムが2分24秒の場合。
前半の400mを1分14秒で通過し、後半の400mを1分10秒で走るというような感じです。
これはレースでも多くあるパターンですが、中間のラップを確認して目標タイムを下回っていた場合、「これからペースを上げて巻き返さないといけない」、と焦ってペースが乱れることがあります。
このようなパターンをいくつか想定して変化ペース走に取り組むと、レースで慌てることがなくなります。
変化ペース走を行うことで、ペースの上げ下げをする各筋力の発揮をコントロールする神経が向上します。
さらに、スパートで強いキックに切り替える筋肉の動きとタイミングを習得できます。
「長距離は気合だ!」、と一言で片付けて、ペースの上げ下げを精神面だけで対応しようとすると限界があります。
一見、気合で走っているように見える長距離走は、実は地道なトレーニングによって作られているのです。
変化ペース走は常に一定のペースで走る長距離走の単調さをなくすことが出来るので、楽しんで取り組めると思います。
陸上競技には多くのパターンの練習がありますので、練習メニューが単調にならないよう組み立てることはモチベーション維持にもなります。
非常にわかりやすくランニングフォーム動画解説