【一流選手比較】山縣亮太選手の安定感抜群のフォームを分析

2018日本選手権の100mを制した山縣亮太選手。
フォームを分析し尽くして徹底的に無駄を排除したフォームが完成されています。
今回はその洗練された山縣選手のフォームを分析していきます。

10.0〜10.1台の選手データ比較

選手名身長体重タイム歩数平均ピッチ平均ストライド
多田修平176cm66kg10.07(+1.8)47.3歩4.697歩/秒211.4cm
山縣亮太177cm70kg 10.00(+0.2)48.6歩4.860歩/秒205.8cm
桐生祥秀176cm70kg 9.98(+1.8)47.1歩4.719歩/秒212.3cm
ケンブリッジ飛鳥180cm76kg10.10(-0.2)47.0歩4.653歩/秒212.8cm
朝原宣治179cm73kg 10.02(+2.0)45.9歩4.581歩/秒217.9cm
末續慎吾178cm68kg 10.03(+1.8)47.0歩4.686歩/秒212.8cm
「2017年12月31日判明分 文:野口純正(国際陸上競技統計者協会[ATFS]会員)」より引用

下記の2017ロンドン世界陸上の動画からフォームを分析していきます。


Doga TF様 YouTubeより引用

日本最速のスタート

100mはピストルの鳴った瞬間から0.1秒未満で動くとフライングとみなされます。
それはつまり、人間が0.1秒未満で反応することが不可能とされているからです。

山縣選手のリアクションタイムのベストはなんと0.109秒。
まさに人間の限界ギリギリの反応速度です。

2018日本選手権100m決勝の一歩目の瞬間です。

強者揃いの中、山縣選手が一歩前に出ているのがわかります。

さらに驚くべきなのは、そこからの加速。
ピカイチのバランス感覚と腰、体幹の強さで誰よりも低い前傾姿勢を取れています。
頭の位置に注目してみましょう。

隣8レーンの多田修平選手もかなりの低さですが他の選手と比べると頭一つ分違います。

身体が前に倒れてしまうギリギリの角度。おそらく気の遠くなる反復練習で身体に覚え込ませた限界の角度だと思います。

山縣選手は臀部、腰の筋肉が一流選手の中でも一段と発達しています。
一時期はこの強さゆえに腰痛に悩まされていたようですが、しっかり自分の強みとして活かされています。

足首の回転動作

山縣選手の着地足を見てみると、足先が外側を向いています。

着地時に足が捻じれて足先が外側を向き、足を蹴り上げた後は捻れが解消され足先は前を向いています。
つまり、地面を離れる瞬間に足先の角度を前に戻そうとする足首の回転がかかっているのです。

この足首の回転を地面を蹴る力に加えることで、他の選手よりも接地時間が短くなり、平均ピッチ4.860歩/秒という世界トップレベルの高速ピッチを生み出している要因だと思います。

しかし、足先が外側を向くことには実はデメリットもあります。

まず一つは、足を斜めに着地させることにより、距離のロスが発生します。
図で説明すると下記の通りです。

一歩では数mmの差ですが、100mで48歩となると合計で数cmとなり、0.1秒〜とタイムに影響を与える場合もあります。

二点目のデメリットは、足に捻れが生じ、腰から体幹部の横ブレに繋がる場合があることです。
しかし、これに関しては強靭で柔軟な臀部の筋肉で捻れを受け止め、上半身まで捻れがいかないよう抑えています。

以上のことから、デメリットよりもメリットの比率が大きくなる山縣選手だからこそ取り入れている動きだと思います。

上体を前傾させて走り切る

一般的には加速区間が終わると、上半身を地面に対しほぼ垂直に起こします。

対して山縣選手はスタートからゴールまで常に前傾です。

身体が前傾になると足が後ろに流れやすくなるとともに腿を上げにくくなるという特徴があります。

しかし、山縣選手は発達した臀部の筋肉と腸腰筋で上体を起こさずとも足が流れることも無く、腿も高い位置まで上げることが出来ています。
言ってしまえば山縣選手はトップスピードになっても身体を起こす必要性が薄いということですね。

それよりも前傾になって重力を前へ進む力に変換し、エネルギー効率が高めた方が山縣選手にはメリットが大きい。
山縣選手の後半の伸びはここからきているのかもしれないですね。

9秒台の実力

2018ジャカルタアジア大会では中国の蘇炳添選手に次いで10秒00。
実は厳密に言うと9秒997で、1000分の1秒の位を切り上げての10秒00です。
この時の風は+0.8m。

桐生選手が9秒98をマークしたレースが+1.8mですから同じ条件下では9秒台が出ていたのでは…と思いますが、タラレバを言っても仕方ないですね。

山縣選手はレースの平均タイムが速く、10秒0台、10秒1台を乱発しています。
この安定感を持っていれば、9秒台を出す日は近いと思います。

個人的には現在、日本で一番力のある選手だと思っていますので、2020東京オリンピックでは100mの決勝に残れるよう頑張って欲しいですね!


※記事中の画像一部は下記動画から引用させて頂いております。

山縣選手(チャンネル名:Doga TF 様)


桐生選手(チャンネル名:Doga TF 様)

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ABOUTこの記事をかいた人

工夫を疎かにして努力に逃げるな。
学生時代は陸上部で毎日ひたすら走り込みをしていました。 しかし努力とは裏腹に記録が伸びず、「走ることは結局才能なんだ」と思っていました。 しかし大人になってから走ることを本気で研究。自分がいかに知識不足だったかを痛感。 今は週に1回程度の練習ですが、100mの自己ベストを更新し続けています。 この経験から私が学んだことは次のことです。
"上達するには努力ではなく工夫すること。 工夫を疎かにして努力に逃げた者は上達しない。 努力はみんなしている"
誰もが正しい努力を出来るように知識と考え方を多くのランナーにお伝えしていきたいと思っています!