バネを使った走りとは。アキレス腱の弾性エネルギーを活用する為のフクラハギの使い方。
「バネを使って走る」
陸上をやっていれば誰もが聞く言葉です。
バネを使うというのはどのような状態なのか?
またバネを強化するにはどうすればいいのか?
今回は「バネ」についてご説明します。
バネとは腱の弾性エネルギー
実はバネと呼ばれる力は筋肉の両端にある腱の動きです。
腱は筋肉と違って意識的に伸ばしたり縮めることは出来ませんが、筋肉と繋がっているため筋肉の収縮/弛緩によって伸び縮みします。
走る上で最も重要な役目を果たす腱がアキレス腱です。
フクラハギの筋肉とアキレス腱の位置関係を見てみましょう。
画像引用元:ソフトバランス整体(http://softbalance.net/wordpress/?p=84)
フクラハギは腓腹筋が表側にあり、その奥にヒラメ筋があります。このニつの筋肉を下腿三頭筋と言います。
下腿三頭筋は途中でアキレス腱と繋がり、踵の骨まで伸びています。
このアキレス腱がバネの役目を果たし、走りに大きなメリットをもたらしています。
バネを使うには筋肉の収縮がポイント
ジャンプで説明をします。
基本的にはアキレス腱は空中では収縮しており、着地している時は伸びています。
足が地面を離れる瞬間が最もアキレス腱が引き伸ばされ、その弾性エネルギーを使って高く跳び上がる事ができています。
アキレス腱をどれだけ引き伸ばせるかでバネの強さが左右されます。
ではアキレス腱をより伸ばすにはどうすれば良いのか?
答えは単純で、アキレス腱に付いている筋肉、腓腹筋、ヒラメ筋を固めればアキレス腱は伸ばされます。
筋肉が固まっていないと筋肉も伸ばされてしまい、アキレス腱が伸びる幅が狭くなってしまいます。
筋肉を収縮、弛緩させるには力が必要で疲労が蓄積されます。
しかし、腱は伸びても縮んでも疲労することはないので、腱を使うことは走る上でコスパがめちゃくちゃ良いです。
ここまでをまとめると、着地した瞬間にフクラハギの筋肉を固めることでバネを使った走りが出来るということです。
フクラハギの筋肉が弱いとアキレス腱と一緒に筋肉も伸ばされてしまい、腱から受けるバネの恩恵を受けにくくなります。
フクラハギの筋肉を鍛える手軽な筋肉トレーニングは、つま先立ちの繰り返しです。
素早くつま先立ちになり、ゆっくり踵を下ろします。
ダンベル等を持って行うとより効果的です。
バネの反発を効率的に全身に伝える
バネを使った走りで、最高の反発力を受けたとしても体幹が固まっていないと力は抜けてしまいます。
特にお腹の部分は骨がないので筋肉を固めていないと衝撃で簡単に折れ曲がってしまいます。
縄跳びをイメージするとわかりやすいですが、猫背で跳ぶ時と背筋を伸ばして跳ぶ時では、足の疲労感が全然違うと思います。
また、体幹だけでなくお尻の筋肉も大切です。
大殿筋や中臀筋で衝撃を受け止められないと骨盤で衝撃を吸収してしまいます。そうするとせっかくの地面からの反発が失われるとともに骨盤の傾きが足の捻じれにも繋がり、様々なデメリットをもたらします。
つまりバネを活かした走りには、着地に関わる足だけでなく、落下の衝撃に耐える全身の筋肉も必要だということです。
まとめ
短距離選手はアキレス腱の弾性エネルギーを高めて跳ね返しながら大きなストライドを実現しています。
そのためには強靭なフクラハギ、そして衝撃に耐える全身の筋肉が必要です。
長距離選手も同様で、筋肉の収縮/弛緩は大きなエネルギーを使うので、筋肉を固める(等尺性収縮)という最もエネルギーの少ない動きを使って、疲れ知らずの腱のバネを活用して走ります。
トレーニングは走りに活きるバネに近い動きの縄跳びをオススメしています。
筋肉の固め方がわかってくると段々楽に跳べるようになってきます。
速い人ほど力みがなくリラックスして走ってるように見えるのはバネの力を上手く使えているからですね!