短距離走で使われる筋肉をシーン毎に解説。弱点をカバーするトレーニング知識を身につける!
100m走のタイムを上げるには100mを走っているだけでは効率的ではありません。
特定の部位に負荷をかける筋トレをすることで理想のフォームを身につけることが出来てきます。
その際にどこの筋肉が走りの何に活かされるのかを考えることが必要であり、その考えがないとトレーニングの選別も出来ません。
今回は走りで使われる筋肉をシーン毎に解説していきます!
※画像は全て右足に注目してください。
着地時(支持期)
足が着地した瞬間はハムストリングス(太腿裏)、下腿三頭筋(フクラハギ)など足の後ろ側に位置する筋肉が主に使われます。
また大殿筋(お尻の筋肉)や外側広筋(太腿外側)も使い、着地した足を軸に身体を前に持っていこうとします。
足が地面を離れる直前から、大殿筋と外側広筋の力は減少しますが、ハムストリングス、下腿三頭筋は変わらず大きな力を発揮し続けます。
特に下腿三頭筋は収縮してアキレス腱を引き伸ばし、バネの力を最大限使おうとします。
大腿直筋(太腿前側の筋肉)や腸腰筋などの足の前側に位置する筋肉は、足が地面を離れる瞬間から収縮しようと力が入ってきます。
これは離地後に足が流れないよう離地する前から足を前に持ってこようとする動きで、いわば先取り的な動きです。
⇒足が流れる動きについて詳しくはコチラ
上半身では着地した瞬間、体幹の筋肉が固められいないと背骨で衝撃を吸収してしまい、地面からの反発力を次の一歩に活かすことが出来ません。
着地時、身体が”くの字”になってしまう方は体幹部を鍛えることをオススメします。
足が身体の後方にある時(スイング期前半)
足が地面を離れて身体の後ろ側にある状態では、腸腰筋がメインに活躍します。
腸腰筋は背骨(腰椎)から太腿の付け根にかけて繋がっている筋肉で、収縮することで足を前方に持ってきたり、太腿を上げることが出来ます。
離地直後は少しでも速く足を前方に持っていきたいですから、腸腰筋はフルパワーで収縮します。
※腸腰筋は大腰筋、腸骨筋、小腰筋の総称です。
同時期にハムストリングスが収縮し、膝を曲げる動きを行います。
これは”足を畳む”と呼ばれる動きで、スイング時に軸となる腰から足をなるべく離さないようにし、スイングの遠心力を最小限に抑えています。
ベストは踵がお尻にくっついている状態です。
大腿直筋(太腿前側)に力が入っていると膝を曲げる動きが出来ません。ハムストリングスに力が入ると同時に大腿直近は脱力させる必要があります。
⇒足の畳みについて詳しくはコチラ
足が前方にある時(スイング期後半)
足を後方から前方に持ってくるのに腸腰筋が活躍しましたが、太腿を上げる動作にも腸腰筋は役立ってくれます。
その際、骨盤から足を上げるために腹斜筋(脇腹の筋肉)も収縮しています。
太腿が上がってからは大腿直筋が収縮して膝を伸ばす動作に入ります。
ここから着地動作に入っていきます。
足の着地位置は重心に近いほどブレーキが少ないため、身体の前へと行った足を重心まで引き寄せます。
引き寄せる筋肉はハムストリングスと大殿筋です。
同時に母子球から着地をするため下腿三頭筋が収縮してつま先を下に向かせます。
大腿直筋は着地する直前から力が入り始め、着地の衝撃を受け止める準備をします。
⇒短距離走の着地について詳しくはコチラ「フラット接地orフォアフット着地」
まとめ
走りの動作一つ一つでどこの筋肉が関わっているのかを考えると今後のトレーニングメニューが組み立てやすくなります。
「スイングを早くしたい」「着地位置を重心に近づけたい」「足が流れないようにしたい」「足を畳めるようにしたい」
このような悩みを持った時にどのようなトレーニングをすれば良いのかがわかってくると思います。
フォーム修正は意識だけで改善できる場合もありますが、そもそもの筋力がないといくら取り組んでも時間ばかりが過ぎてしまいます。
走るだけのトレーニングは非効率と冒頭で申し上げたのはこれが理由です。
自分の弱みをピンポイントでカバーできるトレーニング知識を持つことがワンランク上の選手になる近道だと思います!